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2023.10.26
がん(分類)研究成果のご紹介
肺腺がんは日本人の肺がんの中で最も発症頻度が高く、またその死亡率も全がん種の中で最も高い疾患です。一般的に肺がんは喫煙などの環境要因が発がんに強く関連することが知られています。しかし肺腺がんでは、全患者の約半数が非喫煙者で、特に女性や若年層で喫煙と関係なく発症するケースが比較的多いことが報告されています。また日本人の肺腺がん患者の約半数がEGFR遺伝子に変異を持つ(欧米系では10%程度)など、日本人の肺腺がん発症リスクに遺伝的な要因が関わることが明らかになってきています。
国立研究開発法人国立がん研究センター、東京大学などの研究グループは、日本人が肺腺がん(特に非喫煙者に多く見られるEGFR遺伝子に変異を持つタイプ)にかかりやすくなる遺伝的な特徴を調べるために、大規模な遺伝子解析をおこないました。まず日本人の肺腺がん患者約1万7千例と肺がんにかかっていない人約15万例について、遺伝子多型を比較し、肺腺がん患者さんのグループで多くみられる遺伝子の個人差を探し、特定しました。それらのなかには、免疫系にかかわるものや、染色体の末端部分にあるテロメアというDNA配列の長さにかかわる遺伝子が複数ありました。肺腺がん患者さん964例のDNAの全ゲノムシークエンス解析を行い、遺伝子の個人差とテロメア配列の長さとの関係を調べました。これらの解析の結果、テロメアを構成するDNAの長さが「長いほどがんになりやすい傾向にある」という関連性が示されました。
本研究により解明された日本人やアジア人に特有の肺腺がんへのかかりやすさのメカニズムは、日本やアジアに多い非喫煙者の肺腺がんの予防や早期発見の手掛かりとなることが期待されます。
東京大学からのプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00263.html
成果を発表した論文(英語)
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。