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2020.10.1
研究成果のご紹介骨・結合組織疾患(分類)
関節リウマチは、全身に炎症が広がり、進行すると関節が破壊される病気です。この病気によく見られる合併症の一つに、間質性肺炎があります。間質性肺炎は、肺の組織が炎症や損傷を受けることで起こり、その結果、肺が固くなり、体の中に酸素を取り込みにくくなる病気です。
大阪大学、東京女子医科大学などの研究グループは、東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターのIORRAコホート(※)およびバイオバンク・ジャパンで集めた日本人の関節リウマチ患者のデータを使い、間質性肺炎を併発しているかどうかで分け、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。そして、それぞれの集団の結果を統合し、メタ解析を行った結果、間質性肺炎のリスクを高めるバリアントが7番染色体にあることがわかりました。
さらに、この遺伝子多型が間質性肺炎のどのタイプに影響を与えるのかを調べるため、胸部CT画像のパターンに基づいて分析しました。その結果、関節リウマチに関連する間質性肺炎の中でも、特に肺が硬くなるタイプでこの遺伝子多型が多く見られることがわかりました。この結果は、この遺伝子多型が肺の硬化に関わっている可能性を示しています。
今回、日本人集団における関節リウマチ患者の間質性肺炎の原因となる遺伝子領域が特定されたことにより、間質性肺炎の病気の仕組みが明らかになることが期待されます。
※ IORRAコホート
東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターで行われている、リウマチ性疾患の大規模前向きコホート研究であり、患者のゲノムDNAや血清サンプルのほか、リウマチ性疾患の日常診療に基づいた詳細な臨床情報を集積している。
大阪大学によるプレスリリース
https://www.med.osaka-u.ac.jp/activities/results/2020year/shirai-okada2020
成果を発表した論文(英語)
https://ard.bmj.com/content/79/10/1305
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。